425.自由は死せず(蔵飛)
「どうしてあなたはオレのモノにならないんだろうね」
 意識を飛ばし眠っている彼に呟く。寝顔を覗き込もうと傍に手をつくと、冷たい鎖に触れた。
 重たく、頑丈な鎖。彼の炎を持ってしても溶かすことの出来ないそれは、この部屋の片隅から伸び、彼の右足へと繋がっている。
 解放して欲しければ、オレを愛していると言えばいい。嘘でも構わないから。その言葉を言えば。オレはすぐにでもこの鎖を解く。
 条件は忘れていないはずだ。なのに、彼はその一言を決して言わない。束縛は、彼の嫌うところなのに。それとも、嘘でもオレを愛しているといいたくないのだろうか?
「飛影。愛しているよ」
 耳元で囁いて、そっと唇を落とす。瞬間、僅かに頬が緩んだように見えたが。気のせいだと自分に言い聞かせると、オレは部屋を後にした。
(20010/06/22)
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