433.身ひとつ(蔵飛)
「雪菜ちゃんの消息は分かった」
「?」
「泪涙石は手に入れた」
「蔵馬?」
「こだわる過去はもう何も無い」
「……なんだ、急に」
「今のあなたにはその身ひとつしかないんだなと思って」
「ふん。羨ましいか? そいえば貴様には守るべき家族も、忌むべき過去も在ったな」
「母さんと、黄泉か」
「黒鵺とやらもそうだろ?」
「アイツとのことは、もう。ケリは着いたさ」
「どうだかな」
「妬いてるんですか?」
「ふざけるな」
「冗談ですよ」
「ふん」
「ねぇ、飛影」
「今度は何だ」
「オレはまだ、色々なことに縛られてる。だけど、君は身軽だ」
「何が言いたいんだ」
「ねぇ、飛影。オレと一緒に人間かいで暮らさないか?」
「……は?」
「オレは魔界で暮らせないけど、君は人間界で暮らせる。どう?」
「ふざけるな。オレはこんな生温い生活はゴメンだ。折角魔界に自由に行けるようになったんだ。俺は」
「だから。行きたくなったら、自由に魔界に行けばいい」
「?」
「ただ、オレの所から、魔界に行って欲しいんだ。そして、オレの所に帰ってきて欲しい」
「……くだらん」
「飛影」
「それなら、今だって大して変わらんだろう?」
「……飛影」
(2010/4/22)
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