435.青い果実(蔵飛+コエ)
「随分と、あどけない寝顔だな」
「……不法侵入ですよ?」
「だったら結界でも張っておけばいいだろう?」
「張ったらあなた、変に勘繰るでしょう?」
「……好みだとか言ってた割には、まだ手を出していないんだな」
「よく知っていらっしゃる」
「あー……。気付いてるんだろう?」
「まぁ、そうですけど。にしても、心外ですね。オレ、そんな軽い男に見えます?」
「少なくとも、真面目な男には見えんな」
「あなたにだって、手を出さなかったでしょう?」
「……お前。再会してからのワシに、何をした」
「あれは、オレ達の罪を軽くしてもらうための、まぁ交渉手段といいますか。……でも、念願かなって嬉しかったでしょう?」
「ふざけるな」
「そう思うなら、顔、赤くしないでください。そんなの、可愛いだけですよ?」
「うるさいっ」
「……飛影はね。まだ、青い果実みたいなものですから」
「?」
「まだこれから強くなるし、もっと人間らしい感情だって。きっと幽助が与えてくれる」
「お前では、なんだな」
「オレが与えたいと思うんだったら、とっくに手を出してますよ。でも、それじゃあ駄目なんです。それだと結局、彼はオレにしかならない」
「お前になれる奴など、そうはいないと思うがな」
「それでも、嫌なんです。彼らしさの中に、オレは一欠片も入れたくない。だから、もっと熟れるまで待ちたいんです」
「フン。お前にそんな我慢が出来るとは思えんがな」
「そうですね。オレにも出来るとは思ってません」
「おい」
「でも、まだ。何とか耐えて見せますよ。今はほら、こうしてあどけない表情を見てるだけで満足できているので」
「……物好きめ」
「そうでなければ、あなたを抱いたりはしませんよ。妖怪ごときが。霊界の、しかもその王子を」
「バカが」
「それより、そろそろ退散したほうがいいと思いますよ? まだ起きないとは思いますが、あなたの気配が残っていると、色々と厄介ですから」
「つまり、邪魔者には消えろということか」
「元々邪魔をしにきた人が、何を言ってるんですか」
「…………」
「コエンマ様」
「なんだ、キモチワルイ」
「淋しいのなら、オレがまた、遊びに行ってあげますよ」
「っざけるな、この馬鹿者!」
「ふふ……」
(2010/05/29)
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