438.思い立ったが吉日(はるみち)
「何を笑っているの?」
「思いついたこと、君は一晩寝かせてから行動するタイプだと思ってたんだけどな」
「……今日のお誘い、もしかして怒っているの?
「それなら今こうしていないさ」
「そうかしら。はるかって優しいから」
「君にはね」
「誰にでも」
「みちる」
「……別に、思いついたからすぐに貴女を夜明けの海に誘ったわけではないわ」
「それは、一晩中考えていてくれたってことかな? けど、雨が上がったのは遅くなってからだぜ?」
「海を選んだのは、思いつきだったかもしれないけれど」
「じゃあ……」
「会いたい」
「えっ?」
「一晩中じゃない。はるかと別れた瞬間から、ずっとそればかりを考えていたわ。だから、思い立ってすぐっていうわけではないの」
「飽和状態になったから電話をしたってこと?」
「…………」
「フッ」
「どうして笑うの?」
「我慢しないですぐに言えばいいだろ。そんなの」
「だって……」
「みちる。どうして朝が苦手な僕が、今こうして君の隣にいるのか、分かる?」
「優しいから」
「違うよ。僕だって、君に会えたらって思ってたんだ」
「はるか……」
「みちる……」
「でもそれなら、はるかが私をもっと早くに誘えばよかったんじゃなくて?」
「……あ」
(2010/11/05)
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