442.土足で上がりこむ(蔵飛+雪)
「ほら、飛影。靴ぬい……」
「……なんだ?」
「なんで靴脱いでるの?」
「この国では家に上がる時は靴を脱ぐのは常識だろう?」
「いや、それは、そう、ですけど。だってオレの部屋に来る時はいつも土足で上がりこんでるじゃないですか!」
「…………」
「もしかして、ここが幻海師範の屋敷だからですか?」
「…………」
「雪菜ちゃんが居るからですか?」
「うるさいっ!」
「ああ、後者でしたか」
「……貴様は」
「じゃあオレが、雪菜ちゃんと暮らすようになれば。ちゃんと靴を脱いでくれるようになるのかな?」
「……その前にお前の部屋になど近寄らん」
「いいんですか? 邪魔者が居ないなら、オレはゆ……」
「それ以上言って見ろ。殺すぞ」
「冗談ですよ。そもそも、そんなこと雪菜ちゃんがオーケィするはずないじゃないですか」
「構いませんよ」
「えっ?」
「……ゆき、な?」
「雪菜ちゃん。いつから?」
「今さっきです。飛影さん、そんな危ないものしまってください」
「あ、ああ」
「蔵馬さんの部屋なら、私行ってみたいです。きっとお花とか沢山あるんでしょう? それと、本なんかも」
「まぁ、あるにはありますが」
「私、まだ日本語の読み書きがまだちゃんと出来なくて。でも和真さんは毎日高校のお勉強で忙しそうだから。もしよろしければ、蔵馬さんに教えてもらいたいなって」
「……構わないけど。オレが仕事終わってからだから、夜ですよ? 通うの危険じゃないかな?」
「ええ。だから、一緒に暮らすのなら、何も問題はないでしょう?」
「まぁそれもそうですが。……一緒に暮らす、か」
「私じゃ駄目ですか?」
「……それは、どういう意味での問いかけなのかな?」
「飛影さん。私がお邪魔してもよろしいでしょうか?」
「何故俺に聞く?」
「だって、飛影さんと蔵馬さんって」
「まぁ、飛影は人間界に行く場所がないからね。時々オレの部屋を雨宿りに使ってるけど」
「気紛れに寄っているだけだ。お前が何処のどいつと共に暮らそうが、俺には関係ない」
「よかった。じゃあ、荷物をまとめて、明日にでも、蔵馬さんのお部屋に行きますね。初めから二人暮らしというのもなんですから、とりあえず、三泊だけ。……よろしいでしょうか?」
「え? あ、ああ。まぁ」
「俺を見るな」
「いいよ。じゃあ、明日」
「はい。……あっ、いけない。和真さんたちにお茶を入れるところだった。蔵馬さんたちもあちらへどうぞ。今、お茶を用意しますから」
「ああ。うん」
「…………」
「……飛影、怒ってます?」
「何故俺が怒る必要がある?」
「明日。一日中する予定だったのに」
「そんな予定など初めからない」
「オレは、そんな予定だったんですけどね」
「ふざけるなっ。オレはそのつもりはなかった。だからそれで構わん」
「そう」
「ただし」
「?」
「雪菜に手を出した時は」
「分かってますって。それに。オレはあなたの体にしか興味ないですから」
「……気持ち悪いことをいうなっ、バカが!」
「っはは」
(2010/05/12)
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