450.プラスマイナス0(はるみち)
「一生を通してみると、良い事も悪い事もプラスマイナス0だって言うけど。僕たちの場合、何処までが一生なんだろうな」
「どういう意味?」
「天王はるかとしての生だけなのか。それとも、ウラヌスとして今まで、そして先も続いていく生のことなのか」
「現世は前世の業を背負っているという話もあるわね」
「それじゃあ、来世の僕たちは、もっと酷い目に合うのかな?」
「どうして?」
「今、倖せだからさ」
「それはどうかしら」
「なんだよ。ノリ悪いな」
「今の状況が、過去から続いているものだと思いたくないだけよ。それから、未来に続くものだとも」
「……それって」
「そうじゃないと、未来の私たちが可哀相でしょう?」
「…………」
「なんて顔をしているのよ」
「……なんか、怖いな」
「なあに?」
「この倖せに匹敵するほどの不倖が、いつか来るのかと思うと」
「いつか、じゃないわ。その日はもう決まっているのよ」
「えっ?」
「それは、私とはるかが死別するときよ。そうでしょう?」
「……まぁ、生きている間は君を手放すつもりはないけど」
「はるか?」
「死んでも、放したくない」
「ダメよ」
「何で?」
「だって、それじゃあ転生出来ないわ」
「……君は、僕以外の僕と結ばれたいの?」
「…………」
「みちる?」
「もう。あまり私を困らせないで」
「……うん」
(2010/9/01)
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