459.フリルのドレス(はるみち)
「……みちる。なに、これ」
「衣装よ」
「誰の?」
「はるかの」
「…………」
「…………」
「……冗談、だろ?」
「そう思う?」
「……本気か?」
「オーダーメイドだから、サイズはぴったりのはずよ?」
「何で君が……。なんて、それは愚問か」
「ええ、そうね」
「……君は」
「別にそれを着たからってはるかがはるかでなくなるわけではないわ。確かに私ははるかの見た目を恰好良いと思っているけれど。それだけで好きになったわけじゃないもの」
「だからって、ね。行き成りこれは。なんていうか、その。段階っていうものが、あるだろ?」
「あら。私たちのコスチュームはその段階のうちには入らない?」
「それは……」
「ねぇ、はるか。お願い。折角作ったのだから、一度くらいは着てくれたって……ね?」
「……みちる」
「着てくれるの?」
「着るには、着る、けど。これでパーティーは行かないぜ?」
「どうして?」
「滅多にしない、そう、言ってしまえば僕の『特別』を、だ。君は、その他大勢に見せたいのかな?」
「それは……」
「だろ? だからこれは、今ここ出来て見せるから。パーティーにはいつもの――」
「一番にはるかの特別を見ることが出来るのなら」
「えっ?」
「そのドレスを着たはるかを、私が一番最初に見れるのなら、後は皆に見せても構わない。いいえ、寧ろ皆に見せてあげたいわ。だってそんな素敵なはるかが私のものだなんて。それこそ、素敵だもの」
「……本気、だ、よな。その顔は」
(2010/05/22)
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