460.うつけ者(はるみち&エルザ) ※中学生
「……れ?」
「はるか。気が付いた?」
「えーっと。みちる。どうして?」
「アンタが熱中症で倒れるからよ」
「エルザ? 熱中症?」
「人が気絶するところなんて初めてみたよ」
「だろうな。僕はまだ見たことがない」
「アンタね」
「私も、人が気絶するところ初めて見たわ。でもどうせなら、私が貴女を気絶させたかったわ」
「それは、僕のセリフだよ」
「あれ。もしかして二人、冗談じゃなく本当にそんな関係なの?」
「えっ?」
「あ、いや」
「ま、みちるがそれで倖せなら私は構わないけど」
「えーっと。僕を、ここに運んだのは、もしかして、みちる?」
「残念。そうしたかったんだけどね」
「私が止めたの。だって、女の子を抱きかかえるなんて、みちるのイメージがた崩れでしょ? ただでさえ、スタンドから飛び降りてアンタの元に駆けつけたってのに」
「え。飛び降りたの?」
「だって……」
「アンタが倒れてすぐよ。周りの選手が気が付くよりも先に、みちる、動き出してた。スタンドでアンタの走りを見てたフリークも、アンタの気絶に悲鳴を上げるのも忘れて、目を丸くしてた」
「みちる……」
「しょうがないじゃない。貴女が悪いのよ」
「え。あ。……うん。ごめん」
「さて。じゃあ、私はちょっと」
「エルザ」
「そうじゃなくて。もう帰れるでしょ? 荷物、取ってくるから」
「ええ。ありがとう」
「……悪いな」
「ホントに」
「何で僕にだけ言うんだよ」
「アンタが悪いんでしょ」
「…………」
「ジョーダンだよ。じゃ、ちょっと待ってて」
「うん」
「……みちる」
「なあに?」
「すまない」
「本当よ。寿命が縮んだわ」
「そうじゃなくて」
「それだけよ。どうせまた、朝食抜いてきたんでしょう?」
「ああ、まぁ」
「ただでさえ貴女はあまり水分を取らないのに。朝食まで抜いてきて」
「しょうがないだろ。……一人分て、作るの面倒なんだ」
「……はるか」
「君が、一緒に食べてくれるって言うんなら、それこそ毎日、ちゃんとした朝食を用意するんだけど」
「えっ?」
「なんてな。冗談だよ」
「……じょう、だん」
「みちる?」
「ねぇ。じゃあせめて、私と一緒に目覚めた朝は、ちゃんとご飯食べて?」
「……え? みちる、それってつまり」
「なんて。冗談よ。バカね」
「ああ。なんだ。冗談か」
「……バカ」
「――え?」
(2011/08/22)
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