４６１．ハートブレイク（はるみち＆うさぎ）
「みちるさんって、振られたこときっとないですよね」 「そうね」 「やっぱり」 「でもそれは、私から声をかけること自体ないか――」 「みちるさん？」 「そういえば。私、はるかに振られたことがあるわ」 「はるかさんに？」 「ええ。はじめて、会話をした時に」 「えっ？　初対面で行き成り告白したんですか？」 「会話をしたのは初めてだけれど、もっと前から知っていたわ。……そうじゃなくて。絵のモデルになってくれないかってお願いしたの。そうしたら」 「パァス、ってね」 「はるか」 「はるかさん！」 「浮気は、見ていないところでするもんだぜ？」 「うさぎも待ち合わせだというから話をしていただけよ。それに、浮気をされたとしても、10分も遅刻しているのだから文句は言えなくてよ？」 「すまない。ちょっと、道が混んでてね」 「下手な言い訳ね」 「みちる」 「あのぉ、はるかさん」 「ん？」 「みちるさんのこと振ったことがあるって本当ですか？」 「あれは何ていうか、さ。振ったっていうのとは違うかな。少し、驚いてね。どう返していいかわからなかったんだよ」 「でも、私あの時だいぶ傷ついたのよ？」 「だから、絵のモデルにはなったろ？」 「そうなんですか！？　わーっ。見たいぃ！」 「えっ？　あ。えーっと」 「ごめんなさい。あの絵は見せられないの」 「どうしてですか？」 「子供が見ていい絵じゃないからよ」 「おい、みちる」 「……それってやらしい絵ってことですか？」 「ですか？」 「何で僕に振るんだよ」 「じゃあ見せてもいいの？」 「え。いや、その、それは……」 「つまりはそういう絵ってことよ。だから例えうさぎのお願いでも、見せられないの」 「えーっ」 「っと。もうこんな時間だ。ほら、みちる。遅れて来た僕がいうのもなんだけど、時間、ないから。な？」 「そうね。じゃあ、またね、うさぎ」 「またな、お団子頭」 「えっ、ちょっと、みちるさん！　はるかさんも！　もーっ！」
(2010/06/16)