463.パシリ(蔵コエ)
「ほら、頼まれていたもんだ」
「ありがとうございます」
「ったく。このコエンマ様をパシリに使いおって」
「別に自分で資料を盗ってきてもよかったんですけどね。それだと、あなたが困るでしょう?」
「大体、霊界の資料なんてなんに使うんだ」
「まぁ、ちょっとしたことです。大丈夫、悪用したりはしませんから」
「悪用できるものでは無いからな、それは」
「…………」
「なんだ?」
「お遣いのお礼、しましょうか?」
「礼?」
「ええ。感謝の気持ちをこめて」
「……お前、ちょっと、待て。ワシはすぐに霊界へ――」
「キスだけ、ですよ。まさか、その先がもらえるとでも?」
「べ、つに」
「それが欲しいなら、もう少し大変なお遣いをしてこないと」
「お前な……。大体、キスの何処がお礼なんだっ」
「何処がって。あなた、自分の顔、鏡に映してみたほうがいいですよ?」
「なに?」
「唇にしたわけでもないのに、耳まで真っ赤にして。口も少し笑ってますから」
「……ウソだろ」
(2010/05/07)
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