466.タイムカプセル(外部ファミリー)
「タイムカプセル、か」
「なあに?」
「いや。ほたるが、今日クラスの工作の時間に作ったらしいんだ。十年後、成人式に皆で掘り返すらしい」
「そう。……はるかは、タイムカプセル作ったことあるの?」
「小学校の卒業式のときに、クラスでね。何を入れたかはもう覚えてないな。あの頃は、過去を懐かしむことなんてどうでもいいと思ってたから、ろくなもん入れなかった気がするよ」
「あの時は?」
「今は、というか、君と出会ってからの日々は絶対に忘れたくないと思ってるさ。たまに出会った頃を振り返って懐かしむのも」
「私が今、ここにいるのに?」
「……過去の自分に嫉妬するっていうのか?」
「否定は出来ないわね」
「ったく。そういうみちるは、タイムカプセル作ったことあるのか?」
「貴女と同じよ、はるか。小学校を卒業する時にクラスで作ったわ。私は、子供の頃から指慣らしとして弾いていた曲の譜面を入れたわ。もう暗譜していたし」
「なるほどね。……なぁ、みちる。僕たち家族でも、タイムカプゼル、作らないか?」
「えっ?」
「入れるものは、これさ」
「リップロッド……?」
「そう。四人分の」
「だってそんな。もし」
「もうそんな必要はないさ。きっと。それに……」
「あの子達がいるから?」
「ああ」
「でも。きっとせつなが反対するわ」
「あれがないと、時空の扉に帰れないからな」
「……はるか。もしかして」
「冗談だよ。幾ら僕が、そこらへんの男たちより強いっていっても、やっぱり妖魔に素手じゃ敵わないからね。もしものために、こいつは持っておくさ」
「今の話、九割くらい本気だったんでしょう?」
「……それは兎も角として。家族で、何か残せたらいいな。写真は勿論だけど、それ以外に。……いずれまた、四人で会うための約束としてさ」
「そう、ね」
(2010/05/19)
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