４７０．「探さないでください」(外部ファミリー)
「ほたるが家出？」 「ええ。これを残して」 「……探さないでください、か」 「大丈夫よ。探して欲しいから残したんだわ、きっと」 「心配かけさせないように残していったんじゃないか？　それか、絶対に見つからない自信があるか」 「二人とも、何をそんな悠長に構えているんですか！」 「信じてるんだよ、ほたるを」 「というより、うさぎを、かしらね」 「やっぱりそうかな？」 「うさぎのところじゃなくても、あの子たちの誰かのところよ、きっと」 「問題はそこじゃありません！」 「なんだよ。せつなも少しはほたるを信用……」 「してます。ですが。いえ、それもそうですが。そうじゃなくて」 「せつな、少し落ち着いて」 「……あなたがたは、どうしてほたるが出て行ったのか、その理由については何も考えないんですか？」 「理由。理由、ね。……何かあったかな？」 「そういわれてみれば、そうね。どうしてかしら」 「……自覚はないんですか」 「何が？」 「なあに？」 「きっとほたるは、あなたたちに見せ付けられるのが嫌で出て行ったんですよ」 「見せ付けられる？　何を？」 「……本当に、自覚がないんですか？」 「せつなは、大丈夫なのね」 「大丈夫なら、こんなに声を荒げてませんっ！」 「おい、みちる。何のことだよ」 「原因は、はるかのその鈍感さにあるということよ」 「僕の？」 「みちるさん。それに便乗しているあなたのせいでもあるということを、忘れないで下さい」 「それは違うわ。はるかが恰好良すぎるから悪いのよ。ねぇ？」 「ねぇって……僕に振られても」 「まったく。そんなだからほたるが出て行くんですっ！もう！」
(2010/05/29)