475.自腹を切る(不二榊)
「たまには僕が払いますよ」
「気にするな。君を養っても余るほどの財はある」
「そういう意味じゃなくて」
「君はまだ自分で稼いでいないだろう?」
「お小遣いならありますから」
「駄目だ」
「けど。こうしていつもあなたに払ってもらっているばかりだと。対等ではないでしょう?」
「対等」
「援助交際と変わらないじゃないですか」
「……金銭面は兎も角、私は君と対等だと思ったことは一度もないが」
「僕はあなたを教師だと思ったことはないですよ?」
「私も君を生徒だと思ったことはないが」
「じゃあ何が?」
「愛情の大きさだ」
「えっ?」
「君より私の方が愛情が大きいと思っている」
「だから金を出すのも当然だと?」
「そういうことだ」
「……ふぅん」
「納得していないようだな」
「僕だって、榊さんに負けないくらいの愛情を注いでるつもりなんですけどね」
「それは、つもりだろう」
「言い切れないと駄目ってことですか?」
「まぁ、そういうことだ。……さて、行こうか」
「…………」
「対等だと思ってもらいたいのなら、君は行動で示しなさい」
「……なるほど。じゃあ、そうします」
(201/07/08)
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