478.パンドラの箱(外部ファミリー)
 パンドラの箱。その片隅に忘れ去られた希望って奴を、早く見つけ出さなければいけないと思った。
「怖いよぉ……」
 僕の腕の中で肩を震わせているこの少女の、希望を。見つけ出すのか、創り出すのか。どちらでもいい、一刻も早く。
「ほたる。大丈夫。もう、大丈夫だから」
 なだめるようにその髪を撫でる。触れた瞬間、体を強張らせたように思えたのは、気のせいじゃないだろう。
 ほたるは覚醒した。それも、封印されていた過去が甦るという形で。
 別に、忘れて欲しいと思っていたわけじゃない。けれど覚えていて欲しいと思ったわけでもない。
 僕はウラヌスとしての記憶を、今でもあまり持っていない。それでも覚醒できたし、技の使い方にも困ることはなかった。
 それなのに。どうしてこの子は……。まだこんな、幼いのに。
 だがそれは、ほんの一年前には思えなかったことだ。ほたるが、地球を脅かす存在であった時には。
 ……随分と都合がいいな。自分でも、そう思う。
 殺そうとまでしたくせに、危険ではないと分かった途端、今度は家族面をして、ほたるを怖がらせる総てのものから守ってやりたいと思うなんて。
 それでも、他人からどう思われようとも、僕は今、この少女を心から大切にしたいと思っている。
 それが償いという気持ちから来るのか、他の何かから来るものなのかは分からない。けれど。
「ほたる……」
 あの時、ほたるが最後の希望となり地球を、僕たちを救ってくれたように。今度は、僕がほたるの希望に――。
(2010/06/05)
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