495.ベタベタ(はるみち)
「はるか。少し離れてもらえないかしら?」
「嫌だ」
「でも。ねぇ、今の季節、分かっているの?」
「だったら、クーラーでもつけたらいいだろ?」
「それじゃあ、リモコンを取ってくださる?」
「無理」
「もうっ」
「だいたいこれは、みちるが悪いんだぜ?」
「どうして?」
「そんな、過剰に肌を露出するような恰好するから」
「だって家なんですもの。私だって、ラフな服を着たいわ」
「ラフたってもっと色々あるだろ? 幾らなんでも、それは肌を露出しすぎだよ」
「いいじゃない。貴女以外、他の誰もみていないのだから」
「その結果が、これなんじゃないか」
「それなら、他の人に見せれば、こうしてはるかがべたつくこともなくなるのかしら?」
「まさか。他の人に君のこんな姿を見せようものなら、僕はそいつらの目を片っ端から潰していくね」
「まぁ、こわい」
「だろ? だったら、怖くないように、他の恰好をしてくれないかな?」
「私、この服結構気に入っているのだけれど」
「僕だって、気に入ってるさ」
「じゃあどうしてこんな意地悪をするの?」
「意地悪なんて……。寧ろその逆だよ」
「逆?」
「そう。君の露わになった肌に噛み付きたい衝動を、こうして抱きつくことで堪えてるんだ」
「そんなの……」
「ん?」
「別に、堪えなくてもいいのに」
「――え?」
(2010/06/03)
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