502.秘密結社(蔵飛)
「はい、飛影」
「なんだ?」
「名刺です。あなたの分の」
「名刺?」
「そう。あなたの名前と、役職名が書いてありますから」
「……どいういうことだ?」
「幽助がね、秘密結社ごっこをはじめまして」
「は?」
「魔界と人間界を繋ぐトンネルが開通したでしょう? けれどまだ人間の中には魔界や妖怪の存在を認めたくない人がいて、そういう人たちとの間にはトラブルが起こってるんですよ。いや、存在を認めている人たちとの間でも、かな」
「それで。相談窓口を作ったというわけか」
「そういうことです」
「……くだらんな」
「そうですか?」
「大体、何で俺達がこんな面倒ごとを引き受けなければならないんだ? 霊界探偵とやらがいるだろう?」
「幽助の後釜はまだ見つかってないんですよ。特に、これからはそれなりの妖力を持った妖怪が人間界にやってくるようになるだろうから、少し霊感があるって言うくらいじゃ駄目なんです。ま、幽助ほどの強さを持てということは無いでしょうけど」
「当たり前だ。フツーの人間があれほどの強さを持てるわけが……」
「仙水忍」
「…………」
「いましたね。人間なのに、妖怪のオレ達よりも強かった人間が」
「……フン。それなら、あの潰れ顔に霊界探偵をやらせればいいだろう」
「駄目ですよ。桑原くんは学業に忙しいし、それに……」
「なんだ?」
「多分、彼がそれを引き受けたら、雪菜ちゃんも手伝うと言い出すと思いますよ」
「…………」
「だから、オレ達、人間界で暮らす妖怪がどうにかするしかないんですよ」
「ちょっと待て」
「はい?」
「『オレ達、人間で暮らす妖怪』だと?」
「ええ」
「だったら、俺は違う。巻き込むな」
「ちょっと」
「なっ。離せ」
「駄目です」
「貴様っ。……その腕、焼くぞ?」
「責任とってくれるんですか?」
「…………」
「いいじゃないですか。今はあなた、魔界にいるよりも人間界にいる時間の方が多いんですから」
「向こうにいるとパトロールを押し付けられるのが面倒なだけだ。次の魔界の覇者が決まったら、俺は魔界に行く」
「へぇ」
「何だ?」
「いえ。魔界に『行く』んだな、と思いまして」
「……うるさいっ! 兎に角、俺はやらんからな!」
「はいはい」
(2010/07/16)
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