516.ロココ調(蔵飛)
「何をしている」
「調べもの」
「何の」
「家具」
「……悪趣味だな」
「オレもそう思います」
「なんだ。貴様の部屋に置くんじゃないのか?」
「違いますよ。ある人に贈ろうかと思いまして」
「……ほう」
「あ。その顔は、大分気になってますね。気になってるけど、聞いたら妬いてるのがバレてしまうから我慢してるって顔してる」
「ふん。大方お前の母親にだろう」
「ハズレ。母の年齢を考えると、流石にコレはちょっと」
「……じゃあ」
「ああ、やっぱり気になってたんですね」
「…………」
「ムクロに、ね。贈ろうかと思いまして」
「魔界にか?」
「食いつく場所、違うと思いますが……。魔界に送る方法は幾つかありますから大丈夫です」
「……ということは、やはり百足のあの部屋に、これを、置くのか?」
「そうですよ」
「正気か?」
「ええ」
「ムクロが喜ぶとでも?」
「喜ばないってどうして分かるんですか?」
「それは……」
「それはあなたの単なるイメージでしょう。嗚呼見えて、ムクロは結構女の子なんですよ」
「……貴様は、どうしてそれが分かる」
「さぁ、どうしてでしょうね」
「…………」
「ああ、またその顔。気に――」
「気になどするかっ。それより、わざわざ来てやったんだ。茶くらい出せ」
「オレ、調べものしてるんですけど」
「そんなにムクロが大事か?」
「構って欲しいんですか?」
「ふざけるなよ」
「はい、ふざけてました。さて。じゃあ調べものは一時中断して、夕飯にでもしましょうか。実はもう、温め直すだけで準備は出来てるんですよ、二人分の。って、きっとあなたのことだからそれを知った上で来たんでしょうけど――」
(2012/02/18)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送