517.花粉症(星はる) |
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「っくしゅ」 「……汚い」 「あ。悪ぃ。……って、別にお前のほう向いてねぇだろ?」 「飛沫が舞うだろ」 「お前さ。どの口がそんなこと言うんだよ」 「少し前に、お前の唾液やら何やらを飲み込んでた、この口」 「……分かってて言うか?」 「言ったな。取り消すか?」 「……っくしょい!」 「お前」 「あ、悪ぃ」 「わざとか?」 「お前が話しかけてくるからだろ」 「顔をそむけるとか手で覆うとかあるだろ」 「うるせぇよ」 「風邪か?」 「いや。熱はねぇと思う。喉も痛くねぇし。くしゃみだけだな」 「……もしかして、花粉症、とか」 「カフンショウ?」 「花粉に対してのアレルギーだ。空気中に舞っている花粉のせいで、目や喉が痒くなったり、くしゃみが出たりする」 「花粉」 「今日は久々の晴れだったからな。花粉が舞ってもおかしくない。……そういえば」 「何だよ」 「お前のお姫様は、金木犀の香りがするんだったな」 「ばっ……。匂いと花粉は違うだろ!」 「その匂いが、花粉から来てるものだとしたら?」 「ざけんなよ。違ぇよ。これは花粉症じゃねぇ。ただの風邪だ」 「そうか。じゃあ僕に近寄るな」 「は?」 「うつったら困るだろ」 「……風邪でもねぇ」 「じゃあ何なんだよ」 「ほら、よく言うだろ? 噂をされるとくしゃみが出るって」 「悪い噂、な」 「うっそ、マジ?」 「ああ。嫌われてるんだな、国民的アイドルさん?」 「……じゃあ。いや、えーっと、あー。っくしょん! いや、これは、風邪じゃなくて、花粉症でもなくて、噂でもなくて、えーっと」 「お前、バカだろ」 「は?」 |
(2010/06/09) |
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