527.目から鱗(みちる&亜美)
「こんにちは、みちるさん」
「あら。お久しぶりね。お1人?」
「ええ。みちるさんは……」
「はるかなら、今日は居ないわ」
「そうなんですか」
「残念?」
「そういうわけじゃ……」
「レース方で、会議があるらしくて。終わったら、迎えに来ることになっているの」
「じゃあ、それまでは1人なんですね」
「嬉しいの?」
「そういうわけでも……」
「真っ直ぐなのね、あなたって」
「えっ?」
「なんでもないわ」
「少し、見ていてもいいですか?」
「私?」
「はい。その、みちるさんのフォーム、とても綺麗で」
「ありがと。あなたのフォームだって充分綺麗よ、水野さん。それに、何より楽しそうだわ」
「そう、ですか?」
「羨ましいくらい」
「…………」
「どうかして?」
「いえ。みるさんにそういう風に思われていたなんて思ってもいなかったから」
「そう?」
「だってみちるさんのほうがとても。……なんていうか、人魚みたいで」
「……よく、分かったわね」
「えっ?」
「私、実は人魚だったのよ。ほら、目から鱗が」
「……そんな」
「冗談よ。コンタクト。外し忘れていたの。それに、例え私が人魚だったとしても、目に鱗が生えているわけないわ」
「そう、ですね」
「水野さんて頭が良いのに、騙されやすいのね」
「みちるさんが冗談を言うなんて思わなくて。だから、その……」
「ほんと、真っ直ぐな子ね」
(2010/11/09)
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