556.和み(はるみち)
「不思議だな。少し前までは僕たちはこの子を敵とみなし、殺そうとしてたのに。今は、こうしてこの子を囲んでいると、なんだか穏やかな気持ちになるなんて」
「はるか。母性が目覚めたのかしら? それとも、父性?」
「さぁ? でも、君が奥さんになってくれるなら、僕はこの子の父親にだってなるさ」
「束の間のね」
「……ああ。明日には、この子を本当の父親の元に返さなくちゃな」
「まぁ。本当の、だなんて」
「笑うなよ」
「……ねぇ、はるか」
「ん?」
「子供がいなくても、奥さんと言えるのよね?」
「……まぁ、そうだな」
「はるかは。旦那様になってくれるつもりはないのかしら?」
「おいおい、何言ってるんだよ」
「なにって……。プロポーズ、かしら」
「…………」
「ねぇ、はるか」
「しーっ」
「えっ?」
「ほたる。寝たみたいだ」
「……もう」
「何だよ」
「なんでもないわ」
(2010/07/14)
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