557.ビンタ(はるみち)
「なん、だよ」
「……なんでもないわ。失礼」
「待てよ、みちる。人のこと引っぱたいといて、何でもないはないだろ?」
「いいの?」
「何」
「あの子、放って置いても。ナンパしていたのでしょう?」
「…………」
「じゃあ、はるか。また明日。学校で」
「待てって」
「……痛いわ」
「敵が現れたらどうするんだよ」
「どうもしないわ。その時は駆けつければいいだけなんだから」
「何を怒ってるんだ?」
「怒ってないわ」
「じゃあどうしてこんなこと」
「分からないわよ。分からない。それが答え。もういいでしょう?」
「……そっか。分かった」
「はるか?」
「行こう」
「行くって。何処に?」
「さぁ? 宛てのないドライブだから。行きたいとこ、あるならそれに従うけど」
「あの子はどうするの?」
「別に。君が来るまでの暇潰しだったから」p 「……そんなこと言って。今度はあの子にビンタをされても知らなくてよ?」
「それでもいいさ。君がそうやって微笑ってくれるなら」
「えっ?」
「機嫌、直してくれたみたいだね」
「そんな。私っ」
「いいから。行こう、みちる。でも、今日のことは謝らないぜ? みちるだって、僕の頬、叩いたんだから」
「……もう」
(2010/08/16)
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