565.物見遊山(はるみち)
「はるか。次、あれ乗りましょ?」
「お、おい、みちる」
「なあに?」
「少し休憩しないか?」
「あら。天才レーサーさんあろう人が、2つ3つの絶叫マシンに乗っただけでまいってしまったの?」
「っバカいうなよ」
「だったらいいじゃない。ね。行きましょう?」
「あのな。僕たちはここに遊びに来たわけじゃないんだ。分かってるだろ?」
「分かってるわ」
「だったら。特撮のイベント会場で張っておかないと」
「大丈夫よ。始まるまでにはまだ時間があるもの」
「その前に敵の襲われたらどうするんだ?」
「それは……」
「僕たちが悠長にアトラクションに乗ってる間に、敵にタリスマンを奪われましたなんていうんじゃ、冗談にもならないぜ?」
「……分かったわ。でもその代わり、イベントが終わったら――」
「よし、さぁ、行こう!」
「……ねぇ、はるか」
「ん?」
「もしかして」
「え。あ。いや、違うよ。違うさ。そんな、僕が子供の頃から仮面ライダーに憬れてたとか。そいういうわけじゃないから!」
「……そう」
「ほ、ほら、みちる。行くよ」
「え?」
「じゃなくて。ほら、手」
「……ええ。ねぇ、はるか」
「違うからな」
「そうじゃなくて。なんか、その」
「何?」
「こうして手を繋いで歩いていると。その。……デート、みたいね」
「――え?」
(2010/11/12)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送