589.よりかかる(ウラネプ)
 トン、と肩に重みが載った。さっきより近くに聞こえる呼吸に顔を動かすと、ウラヌスの米神が私の肩に触れていた。
 ちょっと。声をかけようとして、呼吸の深さに気付く。ずり落ちてしまわないように気をつけながら何とかその顔を見ると、彼女は穏やかな表情で目を閉じていた。
 その頬には、乾いてしまった誰かの血液。
 今回の戦闘はいつも以上に時間がかかった。総てを片付けた私たちは暫くその場から動けず、僅かでも体力を回復させるため、こうして二人並んで座って何も無い空を眺めていたのだけれど。
 グローブ越しに繋いだ手。温もりは殆ど伝わってこないけれど、その手の強さは伝わってくる。眠っている今も、変わることなく。
「お疲れ様」
 呟いて、繋いだ手にもう片方の手を重ねる。
 自分の星を護るためだけに生きている私たちには、こんな時間は本来なら許されないのだろうけれど。弱さを見せない彼女の、こんな姿なんて滅多に見られるものではないのだから。
 もう少しだけ、このまま――。
(2010/07/12)
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