590.川辺(不二塚)
「手塚も入れば? 涼しいよ」
「服が濡れる」
「そんなの履いてるからだよ。夏なんだから、短パンくらい履いたらいいのに」
「そういうお前だって同じだろう?」
「そうだね」
「……お前は、気にしないんだな」
「何が?」
「服」
「濡れちゃってるね」
「…………」
「意外?」
「そうだな。もっと潔癖なのかと思っていた」
「どうだろう。でも、君の方が意外だな。アウトドア派なのに」
「……山では不用意に体を濡らしたりはしない」
「慎重派ってことか」
「そういうことだ」
「ねぇ。ここで、乾は海堂に告白したんだよね」
「そうなのか?」
「知らないの?」
「オレが知っていると思うのか?」
「思わない。けど。まぁ、そうか。……いいよね。夕暮れの川辺。太陽の光を反射して金色に光る水の中で。そう、思わない?」
「生憎、オレはそんな光景に感動するような心は持ち合わせていないんだ」
「そう。じゃあ、君には告白のシチュエーションなんてどうだっていいんだね」
「不二?」
「だったら今、言ってもいいかな?」
「何、をだ?」
「……僕が、君を好きってことを、だよ。手塚」
(2010/08/06)
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