５９６．デニム（不二塚）
「へぇ。手塚でもデニム履くんだ」 「登山用だ。というかお前どうしっ……変態か、お前は。いいから、人の箪笥勝手に覗くな」 「いいじゃない。もう中身まで知ってる仲なんだし」 「そういう問題ではないだろう」 「ちょっとさ、隙間を作ろうかと思ってね」 「隙間？」 「うん。僕の服を入れる隙間。駄目かな？」 「……居座る気なのか？」 「そうじゃなくて。急にお泊りすることになったときに、困らないように。下着くらいは入れておこうかなって」 「っ」 「ね。いいでしょう？」 「…………」 「その無言は、オーケィってことでいいんだよね？」 「……それなら」 「何？」 「急に泊まるようなことに、ならなければいいだけだろう。いいから、今日はもう帰れ」 「…………」
(2010/07/14)