599.指定なし(不二タカ)
「不二、今日は何作る?」
「んー。そうだなぁ。じゃあ、任せで」
「えっ?」
「駄目、かな?」
「駄目じゃない、とは思うけど。それじゃあ修行にならないよ」
「どうして?」
「お任せになると、どうしても、自分が握りやすいものを握っちゃうからって親父がさ」
「でも、それを分かってれば、違うものが握れるんじゃない?」
「うーん」
「挑戦してみたいものとかってないの?」
「そんなの、不二に出せるわけないだろ」
「どうして?」
「だって、不味かったら……」
「ねぇ、タカさん。僕とのこのやりとりは、修行の場? それとも披露の場?」
「それは……」
「披露の場なんだとしたら、僕はお金払うよ。ちゃんとしたもの、食べさせてもらってるわけだし。いや、修行の場だとしても、ちゃんとしたものであることには変わりないけどさ」
「そんな。駄目だよ、不二からお金を取るなんて」
「じゃあ、タカさんの挑戦してみたいもので。ねっ?」
「……分かったよ。その代わり、不味かったらちゃんと言ってくれよ。そうじゃないと、修行にならないから」
「分かってるよ。ただ、わさびの量に関してのコメントだけは、あてにしないように」
「ああ」
(2010/07/22)
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