613.生真面目(外部ファミリー)
「ただいま!」
「お帰りなさい。遅かった割には、随分と上機嫌ね」
「ほら、お土産」
「ワイン?」
「そ。この間の、レースに感動したっていうファンがくれたんだ」
「女の人?」
「男だよ。もしかしたらスポンサーになってくれるかもしれない」
「凄いわね。……でも、大丈夫?」
「何が?」
「……しょうがないわね」
「? まぁいいさ。それより、さ。飲もうぜ。こんな時間だし、ほたるも寝てるだろ?」
「そうね、じゃあ私、何か軽いものでも作るわ」
「ああ」
「……お帰りなさい、はるか」
「ゲ」
「なんですか? その顔は」
「別に。……せつな、起きてたのか」
「起こされたんですよ、あなたの元気な声に」
「悪い悪い」
「それ、飲むんですか?」
「えーっと、これは、その」
「あなたがたは未成年なんですよ?」
「知ってるさ。でも、今どき成人するまで酒飲まないなんて奴いないぜ? 僕たちだってもう何度も飲んでるし。なぁ?」
「いいじゃない、せつな。はるかが買ったんじゃないんだもの。ファンの気持ちよ? 無駄にしたら悪いわ」
「駄目です」
「せつな」
「駄目」
「せ」
「駄目ですっ!」
「……ちぇ。分かったよ。飲まない、飲まない」
「よろしい」
「ったく。真面目だよな、せつなは」
「私が真面目なんじゃありません。これは常識です。あなたがたが不真面目なんですよ?」
「だってさ、みちる。君もふりょーだって」
「あら。私は貴女と一緒なら、不良だってなんだって構わなくてよ」
「みちる……」
「はるか……」
「コホン」
「あ」
「では」
「え?」
「そのワインは、私が預かります」
「何でだよ」
「あなたがたが持っていたら、私の見ていないところで飲むかもしれないでしょう?」
「だからって……。せつな、ワインセラー持ってるわけでもないだろ?」
「いいから」
「……ねぇ、はるか。もしかして、せつな」
「な、なんですか」
「飲む気だろ」
「違いますよ」
「そうかしら?」
「ずるいな、せつな。僕たちには駄目だって言ってたくせに」
「……た、例え飲んだとしても、私は成人してますから、法律違反ではありません」
「やっぱり飲む気なんじゃないか」
「例えばの話ですっ!」
「せつな、それはかなり焦りすぎ……」
(2011/01/05)
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