621.後悔先に立たず(不二塚)
「何故」
「後悔先に立たずって言葉、知ってる?」
「……後悔、するとでも?」
「始めなければ、終わらない。そういうことだよ」
「オレは、もう始まってるんだ」
「それなら、僕が君を振ることで、君の想いには終わりが来るね」
「お前自身はどうなんだ? 自分で、幕引きが出来るのか?」
「……僕は、終わらせるつもりはないから。構わないんだ。いつまでも、君への想いを抱いたままで。それでいい」
「卑怯だ」
「何が?」
「オレだって、終わらせたくはない。お前に拒まれた程度では、オレの想いは消えない」
「……そう」
「だから。お前に抱かれて、後悔したとしても。それくらいではオレの想いは消えない」
「手塚……」
「お前は。後悔しないのか?」
「だから」
「そうじゃない」
「……何?」
「次に、いつ会えるか分からないんだ。ドイツに行ったら」
「君は、たった一度の繋がりだけで、次を信じられる?」
「……さぁな」
「だったら」
「後悔しても構わない、と。何度も言っている」
「……強情、なんだね」
「知らなかったのか?」
「知ってた。そういうところが、好きなんだって。今、思い出したよ……」
(2011/03/04)
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