627.時代の流れ(蔵飛)
「変わったな」
「そうですか? あ。見た目少し老けたかもしれないですね。一応、上手く変化しているつもりではいますが」
「お前じゃない」
「じゃあ?」
「この街だ。妖怪がいる」
「それは、もう魔界の存在が常識になりましたから」
「だからと言って、これは」
「人間は、対応するのが早いんですよ。時代の流れが魔界とは違うんです」
「…………」
「だから、さ。飛影」
「続きの言葉は、お前にそっくり返す」
「えっ?」
「それなら、お前が妖怪として人間界で生活しても構わないはずだ。違うか?」
「違います」
「……貴様」
「オレは別に、人間界で妖怪として生活することが嫌なわけじゃない。ただ」
「母親の前では人間でいたい、と?」
「あなたが、雪菜ちゃんの前ではただの妖怪でいたいと思っているのと同じです」
「……なら、俺が兄だと話せばどうする?」
「何、を?」
「俺が。雪菜に、兄だと話したら。お前は、母親に自分が妖怪だと言うか?」
「条件は、飲めません。飲む理由が無い」
「お前には無くとも、俺にはある」
「……変わりましたね」
「時代の流れだ。だろう?」
「あなただけの流れですよ、それは」
(2010/11/24)
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