629.未払い金(蔵飛)
「もう来ないというのなら、お金、払っていってくださいよ」
「金、だと?」
「宝石でも構いませんが。食事代はまぁオレが作りたいから作ったのでいいとして、よく窓を破ったり土足で上がり込んだりしましたよね? その修理やクリーニングにかかった費用です」
「どうして俺が払う必要がある?」
「お前が勝手に元に戻しただけだろう、って? それじゃあ、オレがあなたの服を切り裂いて犯したとき。あなたに言われて服を新調したのは何だったんでしょうね。あなただって、充分楽しんだのに」
「…………」
「魔界で何かしら盗んでくればいいじゃないですか。オレの所に来ないということは、盗賊に戻るんでしょう? それとも、ムクロの元で剣の腕でも磨く?」
「貴様っ」
「ほら。そんな風に剣を振り回すと、また何か壊しますよ?」
「……ちっ」
「じゃあ、体で支払いますか?」
「体、だと?」
「今までは同意の上でしたが。あなたはもうオレのところには来ない。つまりオレに抱かれる気はないということ。だったら、オレがあなたを抱くためにはそれなりの対価が必要になる。違う?」
「……どうだかな。だが、宝石を盗んでくるにしても、それを渡しに再び人間界に来なければならんからな。それなら、今ここでお前に抱かれた方が楽だろう」
「支払い方法の変更は、受け付けませんよ?」
「俺は言った言葉は撤回しない」
「そう。じゃあ。オレが飽きるまで、何日でも付き合ってもらうよ」
「承知の上だ。好きにしろ」
「……そう」
(2010/12/19)
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