632.風の色(はるみち)
「何を、そんなに険しい顔をして眺めてるのかな?」
「……はるか」
「僕は何も感じないけど。まさか、海が騒いでいるのか?」
「そんなんじゃないわ。ただ……」
「何?」
「……なんでもないわ」
「気になるな、それ」
「じゃあ、気にしていて」
「え?」
「気にしていて」
「何、だよ。それ」
「……はるかも、絵を描いたらいいのに」
「絵画は。嫌いじゃないけど、観るだけだ。僕には、君みたいな才能は無いしね」
「だって……。それじゃあ、どうやって教えてもらえばいいの?」
「何を?」
「…………」
「みちる?」
「なんでもないわ」
「何でもないわけないだろ」
「気になる?」
「当たり前だよ」
「……そう」
「え? おい、みちる。それだけか? みちる――」
(2010/09/13)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送