643.嵐を呼ぶ男(はるみち)
「風、強いわね」
「そうだな」
「強いわ」
「……え。何、僕?」
「だってはるかは風を操れるんでしょう?」
「まさか。僕が出来るのは風の声を聴くことだけだよ。君だって、波の声は聴こえても、満ち引きまでは操れないだろ?」
「私は。……それくらい出来てよ」
「みちる」
「だって」
「別にいいだろ。雨が降ってるわけじゃないんだし。この風だって、冷たいわけじゃない。散歩するにはちょうどいいさ」
「……帽子、吹き飛ばされないかしら」
「かぶらなきゃいいだろ」
「髪が乱れるわ」
「しばればいい。だろ?」
「…………」
「あ、れ? みちるさん?」
「はるかのバカ」
「え、あ。おい」
「何しているの? 出かけるんでしょう?」
「……ったく。なんなんだよ」
(2011/04/28)
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