662.千載一遇(星みち?)
「どうしてこんなことを?」
「聞きましたよ。アイツ、昨日から一週間ほど家を空けるって。そしてあなたは暫くコンサートの予定が無い。つまり、一人の時間を持て余してる」
「千載一遇のチャンス?」
「そう、それ。何もアイツからあなたを奪おうなんて思ってません。ただ、一日二日、オレと恋人になって欲しいんです」
「どうして?」
「もちろん、あなたに興味があるから」
「……可笑しな人ね」
「えっ?」
「興味があるのは、私じゃなくてはるかの方でしょう?」
「誰がアイツなんかにっ」
「私を口説くのは、その事実を知ったはるかがどう反応をするのかを見たいから。私を抱きたいのは、はるかが感じているものを感じたいから。つまり、あなたは私を通してはるかを知りたがっているのよ。違う?」
「違う」
「どうかしら。さっき私にキスをした時、脳裏にはるかのことが浮かんだでしょう?」
「……あなたは、どうしてさっきオレを拒まなかった?」
「あなたとキスをしたことをはるかが知ったら、どんな顔をするのかって考えたら、拒む暇がなくなったわ」
「悪い人だ」
「そうよ。はるかばかり気にしてるから、知らなかったでしょう?」
「……オレはあなたに興味があるんです」
「いいわ、そういうことにしておきましょう」
「なんか納得いかねーけど。で。どうします?」
「残念ながら。はるかがいなくても、私には私の帰りを待ってくれる家族がいるの。だから、あなたとはお付き合い出来ないわ」
「一日でも?」
「一時間でも。私を見る気のない人にあげる時間なんてないの。それが私のライバルになりうる可能性のある相手なら、尚更」
「だからオレは――」
(2011/04/14)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送