677.病める時も健やかなる時も(はるみち)
「病める時も、健やかなる時も。……死が、二人を別つまで」
「良い結婚式だったな」
「ええ……」
「羨ましい?」
「私は、嫌だわ」
「え?」
「死んだくらいで、別れてしまうなんて」
「死んだくらいって……」
「だって。私たちは、何度でも転生するのよ?」
「魂はね」
「……はるかは、死んだら別れてもいいと思っているの?」
「良いも悪いも……。僕は、君と別れるなんて考えられない。でも、転生してまでも、とは思わない」
「どうして?」
「そうなったら、僕は天王はるかじゃなくなるし、君だって海王みちるじゃない。彼女たちの新しい人生を、縛りたくはないんだ」
「今の私たちみたいに?」
「……君も、言ってたじゃないか。僕を好きになったのは、僕がウラヌスだからじゃないって。来世で僕らがまた惹かれ合うならそれはそれで構わない。いや、惹かれあって欲しいと思う。来世の僕は、きっと君に惹かれる。けど、それは必然じゃなくて、偶然であって欲しいんだ」
「もし、来世の私が、貴女に惹かれなかったら?」
「それはそれで、構わないさ。君の人生だ。……まぁ、来世の僕がどういう行動に出るかは、分からないけど」
「それって」
「僕だったらの話さ」
「はるか……。でも、やっぱり別れるのは嫌だわ。例え、死んでも」
「それなら、生まれ変わるのやめようか?」
「えっ?」
「死んだら。魂のままずっと二人でいるんだ」
「そんなこと、出来るの?」
「さぁ? やったこと無いからな」
「……やめておくわ」
「みちる?」
「だって、来世の私たちに悪いもの。こんな倖せを、私たちだけで留めておくなんて」
「良かった。じゃあ、これで君も誓えるな」
「誓う?」
「僕たちの結婚式。形だけになっちゃうけど。いつか、さ」
「そうね。……いつか」
(2010/11/23)
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