679.瓶詰め(はるみち)
「……見つけた」
「はるか」
「こんな夜中に、コソコソと何をやっているのかな?」
「見てしまったのね」
「何だよ、その言い方。……で。何してるんだい?」
「お酒を飲んでいたのよ」
「夜中に、キッチンで?」
「そう」
「所謂キッチンドランカーってやつ?」
「違うわ」
「でも、僕に飲まれたくないからそうやって隠れて飲んでるんだろ?」
「それもあるけど。……悪いと思って」
「確かに独り占めはズルいけど。君が嫌がるのなら、そこまで欲しがったりしないよ」
「そうじゃないわ」
「じゃあ、どうして?」
「……あのね。私が飲んでるのは、これなの」
「うっ……。それって」
「マムシよ。この間実家に帰ったときに貰ったの。こんなもの、せつなやほたるが見たら嫌がるでしょう? だから」
「だったら貰ってこなけりゃよかったのに」
「だって。美容に良いんですもの」
「……ていうことは、今までも?」
「ええ。切らしているときもあったけれど。殆ど毎日飲んでいたわ」
「…………」
「はるか?」
「いや、その……」
「飲みたい?」
「ぼ、僕は遠慮しておくよ。美容とか、興味ないし。なっ」
「…………」
「み、ちる?」
「ねぇ、はるか」
「何?」
「キス、してくださる?」
「え?」
「ダメかしら」
「今?」
「今」
「…………」
「はるか」
「……えーっと」
「大丈夫よ。まだ飲んではいないから」
「へっ? いや、あのっ。そういうわけじゃなくって……」
(2010/08/18)
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