680.背負うものの重さ(はるみち)
「不思議だよな」
「何が?」
「背負うものの、重さは。多分、前世(あの頃)よりもずっと軽いのに。不思議と、あの頃以上の力が出せるような気がするんだ」
「……どういうこと?」
「ウラヌスは。星を護るために戦っていた。プリンセスと、彼女を慕う人々を。沢山の命を護るために」
「それは、今でも同じじゃないの? 護る星が月から地球へと変わってはいるけれど」
「何度も言ってるような気がするんだけどな」
「えっ?」
「僕は今、地球やプリンセスのために戦ってるんじゃない。総ては、君一人のためなんだよ、みちる」
「……そんなの」
「でもその方が、僕にとっては力が出しやすいみたいなんだ。対象が明確だからないのか、それとも、想いの強さのせいなのかは分からないけど」
「…………」
「他にも不思議なことはあるんだぜ。君はプリンセスじゃない。この星をどうこうする力なんて持ってない。それなのに、僕の人生は君に容易く左右される。きっと、君が強く望めば、プリンセスの力なんて及ばないくらいにさ。どうしてだと思う?」
「どうしてって、そんなの。私に聞かれても、分からないわ」
「でも、君がやってることだぜ?」
「違うわ。それは受け取っているはるかの問題なのよ。私のせいじゃない。そんなの」
「……みちる?」
「あまり、そんな。恥ずかしいこと、言わないで」
「え?」
「折角、貴女の気障なセリフに慣れてきたと思ったのに。そんな、普通に言うんですもの」
「っとー。気障、だった、かな?」
「……駄目ね、私も」
「?」
「敵を倒すことにも、誰かを犠牲にすることにも、感情が動かないのに。はるか一人に、こんなにも左右されるなんて――」
(2010/08/19)
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