690.焼きたてホカホカ(蔵飛)
「……飛影。何、してるんですか?」
「やらんぞ」
「いらないですよ、別に。家に帰れば、食事なんて幾らでもありますから」
「……ふん。人間かぶれが」
「それ。オレにとっては褒め言葉にしかなりませんよ?」
「ちっ」
「……にしても。そのまま丸焼きですか」
「悪いか?」
「せめて皮ぐらい剥いだらどうです?」
「俺がそんなことすると思うか?」
「けど」
「構わん。大体、喰うつもりで焼いたわけじゃない」
「でも。いつもなら切り捨てるのにどうして今回は焼いたんです?」
「……たまたまだ」
「たまたま?」
「……うるさい」
「お腹が空いたのなら、うちに来れば、幾らでも食べさせてあげるのに」
「お前に飯を貰うと、高くつくからな」
「そんな。お代なんて貰ったこと一度もないでしょう?」
「……金ではな」
「体で支払ってるって言ってる?」
「そう聞こえないか?」
「聞こえなくもないですが。そう思われてたのなら、心外ですね」
「?」
「だってあれは。……あなただって充分楽しんでいるじゃないですか。何なら今、してあげてもいいんですよ?」
「ふっ、ざけるな!」
「そうでしたね。折角焼きたてなのに。こんなことをしていたら、肉が冷める。……ああ。じゃあやっぱり、食後ですね」
「貴様」
(2010/08/12)
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