705.挑戦者登場(はるみち)
「……貴女の気持ち、分った気がするわ」
「何?」
「今まで、貴女に熱を上げている子が何度か現れたことがあったけれど、それは憬れからくる感情だったから。そんなに、不安にはならなかったの」
「……アイツのことか?」
「本気のようね。挑戦状を叩きつけられた気分だったわ」
「アイツも無謀だよな。僕たちに勝負を挑もうだなんて。一対一でも勝ち目は無いに等しいのに、二対一だぜ?」
「二対一?」
「何だよ。だってみちるを負かしたところで、僕が頷かなきゃアイツの勝ちにはならないんだぜ」
「……貴女が頷くことで私の負けが決まるのではないの?」
「僕は所謂ラスボスかな。まず、君を諦めさせないと」
「……でも。私が諦めなくても、はるかが」
「僕がアイツに傾くとでも思うのかい?」
「思わないわ」
「だろ」
「……じゃあ、どうして」
「え?」
「どうしてはるかは、私に近づいてくる人たちに対してあんなに敵意を表すの? 私だって、他の誰かに傾く気なんてないのに」
「僕は。本気だろうとそうじゃなかろうと、君の目に誰かが留まることが嫌なんだ」
「信用してくれないのね」
「独占欲、と言って欲しいな」
「まぁ……」
「兎に角。この勝負に負けるわけにはいかないよ、みちる。僕たちが離れることは、あっちゃならないんだ。分るだろ?」
「分かっているわ」
「そのためには、君が不安にならないこと。君が僕を信じてくれないとね」
「ええ。分ったわ、はるか」
(2005/01/27)
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