714.ふざけんな、バカヤロー(はるみち) |
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「王様の耳は、ロバの耳」 「なあに?」 「何か最近、鬱憤が溜まってるみたいだからさ。僕をその穴だと思って、内に溜めているものを吐き出してもいいんじゃないかと思ってさ。出来うる限りの、汚い言葉で」 「例えば?」 「ふざけんな、バカヤロウ、とか」 「……それは、無理ね」 「まぁ、そんな言葉遣いしたことないのは分かってるけどさ。でも、思ったままぶちまけるのも」 「そうじゃないわ」 「え?」 「私が内に溜め込んでいるものは、そういうものじゃないの。それは不満だってあるけれど」 「けど、溜め込んでいることには変わりないんだろ」 「ええ、そうよ」 「それなら」 「でもあのお話って、結局叫びは外に漏れてしまうのよね」 「僕を信用してない?」 「寧ろ、漏らしてくれて構わないわ。貴女の口からなら」 「どういうこと?」 「つまり、私が溜め込んでいるのは……。幾ら言葉にしても足りないくらい、貴女を好きということなのよ」 「――え?」 |
(2011/08/14) |
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