718.占領地(蔵黄泉)
「これがお前の王国か?」
「今は狭いが、そのうちこんな囲いをする必要も無くなる」
「魔界総てを掌握出来ると思っているのか」
「悪いか?」
「お前は馬鹿だな。相変わらず」
「だが、その馬鹿の命にお前は従わなければならない。……無力だな」
「力では、心までは支配できない。分かっているはずだ」
「拷問を趣味にしてきたお前の科白ではないな」
「馬鹿に拷問は無理だ」
「どうかな。俺の目から光を奪った奴の姿を見ただろう? いつからか死を渇望するようになった。今の俺なら、お前を同じ姿にすることも出来るが」
「……黄泉」
「怖気づいたか?」
「オレに死を渇望させることが、お前の望みじゃないだろ」
「…………」
「両親の命を握ったところで、お前の欲しいものは手に入らない。殺してしまえば、お前はオレに触れることすら叶わなくなる」
「……貴様」
「形のある物を占領するのは簡単だ。お前はこの土地を手にしたことで、何か勘違いをしたんじゃないのか? お前が今手にしてるのは形のあるものだけだ」
「今のお前には形がある」
「南野(こ)の姿だって、お前の望んでいるものじゃないはずだ」
「…………」
「まぁ、好きにすればいい。今のオレは、お前に弱味を握られていることにはかわりない」p 「蔵馬。俺は――」
(2010/11/29)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送