725.その口を縫い閉じてやりたい(はるみち)※『580.キャラメル』の後日
「どうして、そんなおイタばかりするのかしら?」
「しょうがないだろ。僕の口が無意識に言っちゃうんだ」
「……その口を縫い閉じてやりたいわ」
「誰の口?」
「貴女のに決まっているでしょう?」
「冗談を真に受けたのはほたるだぜ?」
「その後、改めてキスしたのは誰?」
「あれは……。口封じだよ」
「効果がなければただのキスよ」
「……悪かった」
「聞き飽きたわ」
「僕は言い飽きてないけどね」
「言い飽きるまで、するつもりなの?」
「それは僕の口に訊いてくれないかな」
「どうやって?」
「訊き方くらい、分かるだろ?」
「でも、答えは聞けないわね」
「どうして?」
「どうして? 決まってるじゃない。貴女の口を縫い閉じるからよ」
「……そんなことしたら、キスなんて出来なくなるぜ?」
「あら。唇を重ね合わせるくらいなら出来てよ?」
「その先は?」
「当然、ナシ」
「成る程」
「それだけ?」
「何?」
「……なんでもないわ」
「ふぅん」
「なによ」
「何でもないさ」
「……ああっ、もう。どうして貴女の口は私の思うようになってくれないのかしら」
「その質問は、僕に直接聞いてくれないかな?」
「どうして?」
「決まってるだろ。僕がわざとそうしてるからさ」
「……ほんとに、もう」
(2010/08/01)
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