730.履歴(不二塚)
「……何をしている?」
「君のケータイに電話して、勝手に出て、勝手に切ってる」
「それは見れば分かる」
「じゃあ訊かないで」
「何故そんなことをする必要がある?」
「……案外、メール以外でもケータイ使ってるんだね」
「履歴、見たのか?」
「見られてまずいようなものは無かったね」
「当たり前だ。だが、不味いものがあろうとなかろうと、勝手に見られれば不快になる」
「じゃあ次から許可取るよ」
「そういう問題ではない」
「そういう問題だよ。手塚が駄目っていえば、諦める」
「…………」
「信用してないね」 「その程度で諦めるのなら、初めから勝手に見ないだろう」
「それは、やって見ないと分からないよ」
「…………。そもそも、そんなもの見て楽しいのか?」
「つまらないよ。だから今、楽しいものに変えようと努力してるんじゃない」
「努力?」
「君のケータイの着信履歴を、僕の名前で埋めるんだよ。もちろん、それが終われば、今度は発信履歴」
「それのどこが楽しいんだ?」
「それは努力の部分。結果は、ほら。やっと着信履歴が僕の名前で埋まったよ」
「…………」
「君のケータイ、制圧。楽しいね」
「……貸せ」
「えっ?」
「お前のケータイにも言えることだって、分かってるんだろうな?」
「もちろん。嗚呼、僕のケータイ、手塚だらけ。嬉しいね、なんか」
「…………」
「えっ、なに?」
「呆れただけだ」
「のわりには、顔、赤いけど?」
「……気のせいだ」
(2011/04/19)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送