740.いただきます(不二海)
「いただきます」
「……乾の言ったと通りだね」
「え?」
「見かけによらず、礼儀正しい。そういえば、ガツガツ食べてるところも見たことないね」
「……やっぱり、男らしくないっすよね」
「何?」
「桃城のヤロウが言うんですよ。男らしくねぇって」
「桃なんかに比べると、確かに豪快さは無いけど。でも、その量食べてるんだから、充分男らしいと僕は思うよ」
「……そうっスか?」
「うん。でも、強いて食べ方に注文をつけるなら、美味しいものを食べた時は笑顔を見せて欲しいかな。男らしいとからしくないとか、そういうのとは違うけど」
「……笑顔」
「そう、笑顔。じゃないと、作った方は不安になるよ」
「けど今、母は居ないし」
「でも、そういう顔でずっと食べられるのかな、と思うと。なんか、お弁当、作りづらいな」
「え? 不二先輩、それってどういう……」
「僕ね、海堂。こう見えても、結構料理上手いんだ。普通、母親が料理出来ると子供は料理しないっていうけど、うちの場合はよく手伝わされたから」
「そうなんすか。って。そうじゃなくて」
「ねぇ、海堂。こうして二人でお弁当を食べるくらいには距離が近づいたんだし。今度、僕が作ってきたお弁当、食べてくれないかな? といっても、僕は君のお母さんほど沢山のものは作れないから、物足りないかもしれないけど」
「……不二、先輩」
「っと。海堂。早く食べないと、休憩時間が終わるまでに食べ終わらないよ? その量、しっかり噛んで食べるんだろ?」
「はい……」
(2010/09/06)
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