742.一族(蔵雪)
「……血が、絶えるな」
「え?」
「こんな事をしていたら。お前はいずれ、忌み子を産む」
「……それでも、構いません」
「一族が滅ぶことはお前の望むところかもしれないが。……また、お前の兄のような悲劇を繰り返すわけにはいかないだろう?」
「あれは、母が氷河の国にいたから起きた悲劇です。私なら、捨てたりはしません」
「なら、殺すか?」
「まさか。……だって、蔵馬さんの子供ですよ?」
「人間にはならないだろうな。こうしているのは、妖狐としてのオレなのだし」
「っあ」
「…………」
「蔵馬、さん?」
「いや。本当の忌み子は、お前の兄ではなく、お前の方なのかもしれないな」
「……そうですよ。知らなかったんですか?」
(2010/08/25)
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