743.神経質(はるみち)
「朝早くから、ごくろうさま」
「なんだよ。いいだろ、君と出かける時間までには間に合ったんだから」
「でも、走らせればどうせ汚れるのよ?」
「今日乗るやつだけじゃないぜ」
「はいはい」
「だからなんなんだよ。みちるだって、ヴァイオリン、弾いたあと丁寧に磨いてるだろ。同じだよ。好きなもの、大切なものはいつだって綺麗にしておきたいんだ」
「私の事は穢したのに?」
「それはっ……。みちるが、望んだことだろ」
「あら。はるかは望んでいなかったの?」
「僕は。それが穢れだとは思ってないから。寧ろ、綺麗に磨かれたんじゃないかな?」
「まだよ」
「えっ?」
「まだ。貴女の愛車ほど綺麗になってはいないわ。もっと神経質なまでに愛してくれないと」
「だから君は……。ったく。精進するよ」
(2011/05/10)
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