746.恐くない恐くない(外部ファミリー)
 恐くない。恐くないから。
 抱きついてくるほたるの頭を優しく撫でながら、はるかはおまじないのように何度も呟いていた。はるかの肩越しに、ほたると目が合う。安心させるように私も微笑んでみたけれど、ほたるは視線から逃れるようにはるかの肩に顔を埋めた。はるかを抱きしめている小さな手に、力がこもる。
 見抜いているのね、きっと。
 ついてしまいそうになる溜息を飲み込んで、静かに部屋を出る。扉を締めて振り向くと、せつなが苦笑いを浮かべていた。
 過去の夢を見た後では、ほたるははるか以外を頑なに拒絶する。独りでいることに泣き出すのに、それでも私やせつなを受け入れようとはしない。
 この地球を守るためにあの子を手にかける。そのことを本当に躊躇っていたのは誰なのか。そして、痛みを感じていなかったのは誰なのか。ほたるは、見抜いている。
 我慢してください。相手は子供なんですから。
 私が何も言わない理由を分かっているはずなのに、せつなは軽い溜息を吐くと呆れたような口調で言った。そうね。出来るだけ軽く頷いた私は、震える指をせつなの指に絡ませた。
(2010/11/01)
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