764.缶入りキャンディー(はるみち)
「さっきから、何の音?」
「これのことかしら?」
「飴?」
「貰ったの。絵画教室で一緒になった男の子に」
「へぇ。懐かしいな。一つ貰うよ」
「…………」
「あれ? 駄目だった?」
「駄目じゃないわ。でも」
「何?」
「そのドロップ、魔法がかかっているんですって」
「魔法?」
「ええ」
「どんな?」
「色によって違うらしいの」
「へぇ。じゃあ、僕が舐めてる色だと何?」
「分からないわ」
「分からないって。それじゃあ意味無いだろ」
「そうじゃないわ。貴女が何色を口にしたのかが分からないのよ」
「見てなかったのか?」
「だって……。はるか、私に食べていいか聞いたときには既に食べていたんですもの」
「なるほど。じゃあ、ちょっと口の中、覗いてくれないかな?」
「ここで大口開けるの?」
「別に構わな……。ああ、そうか」
「なあに?」
「他にも、色を確認する方法があったなと思ってさ」
「えっ……」
「なっ? これなら、分かるだろ。何味だったか」
「……馬鹿。知りたいのは、色よ」
「でも、味から色くらい分かるだろ?」
「いちご味。赤ね」
「で? それはどんな魔法があるんだい?」
「……もう、効果があったわ」
「え?」
「ねぇ、はるか。それより。味で色が分かるんだったら、キスなんてしなくても良かったんじゃ――」
(2010/08/25)
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