767.豚に真珠(蔵飛)
「飛影は、どうして盗賊なんかしていたんですか?」
「前にも言っただろう。俺を拾った奴が盗賊だったからだ。それに、賊のほうが戦闘には事欠かなかったんでな」
「じゃあ、宝が目的じゃなかったんですね」
「お前も知っていると思うが、国に属しているか人間界に行きしているかでもない限り、魔界ではそんなもの腹の足しにならん」
「美しいとは思わなかったんですか?」
「この世に、血飛沫以上に美しいものが何処にある?」
「泪涙石」
「あれは……。俺にとっては、そういう次元のものじゃない」
「じゃあ、オレ」
「……馬鹿か?」
「知ってるんですよ。時々、あなたがオレに見惚れてるの」
「自惚れるな」
「ねぇ、飛影」
「?」
「宝石に、興味がなくてもいいから。いつか、オレがあなたに指輪をプレゼントしたら。それだけは手放さないでいてくれませんか?」
「いつか?」
「ええ。いつか」
「……捨てられたくないなら、その時に言え」
「それは無理ですよ。だってきっと、その時オレはもうこの世に――」
「いいな。捨てられたくなければ、お前が直接俺にそれを渡して、その時に言え。それ以外は認めん」
「つまり、それなら指輪を受け取ってくれるということ?」
「お前の作った妙な薬を飲むより容易い」
「……それ、本気で言ってる?」
「さぁな」
(2011/04/02)
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