778.日に当たったら溶けるんだ(外部ファミリー)
「はるかパパー。遊びにいこーよー」
「せつなと行ってきなよ」
「せつなママは大学のなんかで忙しいんだってー」
「……せつなの部屋、クーラー効いてた?」
「すっごく寒かった」
「…………」
「ねぇ。はるかパパっ。ほたる、海行きたいっ!」
「みちるは?」
「みちるママは運転できないもん。電車は」
「僕がいないのにみちるを電車に乗せるわけにはいかないな」
「でしょ? だからさ。はるかパパ、行こう?」
「うーん……」
「だって、凄くいい天気だよ?」
「いい天気だと、ちょっと、なぁ」
「えーっ」
「ごめんな、ほたる。僕、強い日差しに当たると、とけるんだ」
「うっそだー」
「ほんと」
「じゃあ何で今まで平気だったの?」
「それは、そこまで強い日差しじゃなかったからさ」
「絶対嘘だよ」
「じゃあ試しに一緒に海に行ってみるかい? 僕がとけて消えてしまってもいいのなら」
「……ヤダ」
「駄目よ、はるか。ほたるをいじめちゃ」
「みちる……」
「……みちるママ。それってはるかパパの言ってることが嘘だってこと?」
「さぁ。どうなのかしらね?」
「えーっと。みちるさん、は。何のご用なのかな?」
「ほたるが余りにも海に行きたそうだから。一緒に行こうかと思って。……電車で」
「なっ……」
「みちるママ、ほんと?」
「ええ。本当ははるかに連れて行ってもらいたいのだけれど。そんなことしてはるかがとけてしまったら大変だから。電車で行きましょう」
「ちょ。ちょっと待てよ。駄目だ。みちるが電車なんてっ。何処の誰とも知らないやつと密着するなんてっ」
「大袈裟よ、はるか」
「駄目だ駄目だ駄目だ。僕が行くから。ほら、ほたる。準備して! みちるも!」
「……いいなぁ、みちるママ。はるかパパに愛されてて」
「そうね。……少し、過剰な気はするけれど。でも、悪い気はしないわ」
(2010/08/11)
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