792.願いを込めたわら人形(はるみち)
「……みちる。それ、何?」
「藁人形よ」
「えーっと」
「火野さんから教えてもらったの。これに願いをこめて釘を打ち付けると、叶うって」
「それ、本気で言ってる?」
「えっ?」
「……あの子は、割と頭のいい方だと思ってたんだけどな」
「はるか?」
「いや……。それで? みちるは何を願うんだい?」
「言ってしまったら効果が無くなるわ」
「ヒントだけでもさ。……僕のこと?」
「うーん。近いようで、遠いわね」
「何だよ、それ」
「貴女に関係してるけれど、貴女のことではないの」
「じゃあ、僕ら家族のこと?」
「それも違うわ」
「だって他に僕に関係する人物なんて」
「いるじゃない。先週も仲良く口論していたわね」
「ばっ……。星野(アイツ)は」
「顔を合わせるといつもいつも。よくそんなに話す内容があるなと感心してしまうわ」
「会話じゃないだろ、アレは」
「知っているかしら。粗を探すには、それだけ相手のことをちゃんと見ていないといけないのよ?」
「……アイツの場合粗だらけなんだよ」
「まぁ、そういうことにしておくわ」
「ていうか、それってやっぱり」
「なあに?」
「……いいや。なんでもない。叶うといいな、その願い」
「そうね」
「…………」
(2010/08/02)
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